おれの名前は三神外道、通称げど。酒と小説を愛するしがない
広告屋だ。だがおれには眠ることで小説世界に侵入できる「小説探偵」としての顔がある・・・。ちょっとこれ、すっごいおもしろいですよ!げどの元を訪れるのはみんな小説の登場人物で、自分が登場する小説内での相談事を解決してくれと頼みにくる。げどは仕事としてだったり、事情があって仕方なしだったりと小説内に入り込む。それぞれの小説への入り口は毒きのこみたいな屋根の家で、そこにはげどが幼い頃読んで怖くて眠れなくなった童話にでてきた悪い小人の外見をした爺さんと、子供の頃に大切にしていたテディベアの姿をしたグムがいる。この爺さんが万能で、それぞれの小説世界にあった服装やアイテムや通貨や書類をばっちり用意してくれるの。もちろん有料。そこらへんはガッチリ。で、グムは喋るし、指とかないのにバケツを下げられたり、お盆を持てたりするの。なんてメルヘン。流れる時間に繋がりのある7編が収録されてるのですが、ミステリ、ホラー、時代小説、海外ハードボイルド、
やおい小説、ファンタ
ジーなどなどそれぞれ違った小説が舞台になってて、その設定も描写も丁寧。げどの周りのキャ
ラクターがまた癖のある人ばっかりで、善悪でいうと悪。全編を通して謎があって、結局それは明らかになってないんだけど、あとがきに「遠くない未来に書ききろうと思っています」とあるので、待つ楽しみがいっこ増えました。ほんっとおもしろいのでぜひぜひ読むといいと思いますよ。ちなみに表紙と中のイラストは
笹井一個。このイラストもかなりいいですよ。本気でおススメですので。ぜひぜひ。