辻村 深月『冷たい校舎の時は止まる』

冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)

冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス)

冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス)

多分イライラすると思ったので、全巻刊行待ちしてました。ようやく読んだのですが、うっわ〜少女漫画っぽい。校舎に閉じ込められる8人(男女4人ずつ)の設定がベタすぎる。男子はみんなタイプこそ違うものの、そこそこモテ系のイケメンで冷静で知的な眼鏡くんに実は頼りになる不良に聞き上手で優しいフェミニストにひ弱そうに見えるものの実は芯が強いといういじられっこ。女子はギャルに超秀才眼鏡っこに宝塚の男役系に脆くてか弱い守ってあげたい系と、バランスとれすぎ。おまけに若くてかっこいい担任の先生と。しかもこいつらみんな県で一番の進学校に通ってて、頭いいの。なんだそりゃ。こんな奴らが仲良くできるわけないっつーの。さぁお前ら好きなだけ萌えたらいいんじゃない?みたいな感じ。ほとんど恩田陸。とはいっても、3冊使ってるだけあって、内面描写はそれなりだけど、外見は具体的にイメージできなかった。しかも眼鏡に萌えねーぞ。眼鏡描写が足りなーい。もっと眼鏡を押し上げたり眼鏡を外して瞼をマッサージしたり、眼鏡を外した目は涼しげだったり、できることなら片方のレンズが割れたりとかしろよー(それこそベタ)。ま、恩田陸の域にはまだまだですわ。ヨハン萌え〜。あと、いつも思うんだけど、学級委員って何?そんな重要か?クラスの中心になったりするか? 普通に「委員長」とかって呼んだりするか? これがすごい気持ち悪い。あたしの中では、学級委員なんて「押し付けられちゃって断りきれない人=どーでもいい」って感じなんだけど。
で、内容ですけど、ミステリとしてはともかく青春小説と思えばそこそこ。それぞれ8人の背景を丁寧に書いているので、浮き彫りになる悩みだったりちょっとした苦しみだったりは理解できるし、誰かしらに感情移入できる・・・のかな。あと恋愛感情とかね。若い読者には受け入れやすいところがあるんじゃないかな。めっきり大人になっちゃったあたしは全然ダメだけど。作者が女だけあって、女子チームのパートに出てくる陰口だったり、告げ口だったりあと原因もなく険悪になるとかね、そういうところはリアルでした。それから、最初にいなくなる3人まではホラー的な描写でこれもなかなか。全部こんなだったらよかったんだけどな。肝心の自殺したのは誰かという謎は、まぁ思った通りだなと。どっちかだろうなぁと思った二人のかたっぽでした。動機もこっちだとしたらそれに近いようなことなんだろうなぁとは思ったし。ただ榊=菅原ってのは、全然考えてなかったから驚いた。読み返してみるといろいろ伏線あったのにな。ホストの頭の中だから、先生が生徒だったらよかったのにという願いもかなうってのはなんだよそりゃって感じだけど。まぁ、メフィスト賞ですから。デビュー作ですから。好きか嫌いかというと好みじゃないってところで、アリかナシかと言えばまぁ、アリなんじゃん?ってところですかね。どっちだよ。あーいっぱい書いちゃった。