誠実度100%人間たちのミステリー(
関口苑生)とのことで、地味でまじめな人たちを主人公にした6編からなる短編集です。ミステリーかどうかは分からないけれど、とても上質な物語ばかりだと思いました。世の中、容姿端麗でもなく頭脳明晰でもなく金持ちでもなく住所
不定無職でもなく自慢できる特技があるわけでもなくすごい趣味を持ってるわけでもない「普通」の人が圧倒的に多いんだもんね。私だってその一員である以上、共感できまくるんじゃないのー?・・・と思ったけれど、そうでもなかった。だって「普通」じゃないよこの人たち。どうしてそんなことしちゃうのよ!馬鹿なんじゃないの?「普通」そんなことしないよ!と言いたくなる。ここで問題発生。あたしが思う「普通」はあたしの中での基準であって、他人の「普通」とは違うんじゃないか・・・とまぁこれは周期的に考えることなんだけど。といっても、この本の中のどこにも「普通」という表現はなくて、「まじめな人」という言葉で表現されているわけで、あたしはこれを普通という言葉に置き換えて読んだということなんですけど。普通に平凡に生きていたとしても、それでも大なり小なりドラマは起こるわけで、必ずしもそれがハッピーエンドとなるわけではないと。“まじめにこつこつと努力しさえすれば幸せになれるほど、人生は甘くないのです。”というあとがきの言葉が全てかな。だからと言って、まじめに生きることをやめられないのが普通の人、なんだよねー。
ところであとがきの[お断り]は、『駅で待つ人』でいいんだよな・・・?なんか自信ない。