恩田 陸『禁じられた楽園』

禁じられた楽園

禁じられた楽園

世界レベルで活躍する天才美術家の青年にさまざまな感情を抱きながらも魅せられた男女二人、失踪した婚約者を探す女とその男の親友、美術家の生家の謎を追う記者。辿り着いた先は熊野の大自然の中に作られた迷宮だった。彼の作品に触れた時、忘れていた記憶と恐怖がよみがえる。流れついた首なし死体。失踪した男は生きているのだろうか。んー、こうやって書こうと思うと、すごく難しい。いくつかの謎があり、それに対する答えも記されているので、読後の納得いかない感みたいなのはない。ただね、登場人物がみんな美しすぎるんだよな。謎の中心にいる天才美術家のなんともいえない禍々しさっていうのがイメージできなかったし、学生二人が恐怖と不安で追い詰められていく感じも、全然感じられなかった。とにかく綺麗なんだよね。どこか靄がかかってるみたいなの。幻想ホラーだから、これでいいのだろうか。まぁ、恩田作品は多かれ少なかれどこかお人形っぽいというか、おとぎ話っぽいのが魅力だと思うので、それはそれで悪くはないのだけれど。