垣根 涼介『ヒート アイランド』

ヒートアイランド (文春文庫)

ヒートアイランド (文春文庫)

新刊に向けて再読。前に読んだ時は、疾走感や熱気、それから刹那的な享楽っていうのかなぁ、乱暴な言い方をしてしまえば「渋谷的」な感じがすごくおもしろいと思った。あれから3年経って改めて読み直してみたら、なんとなく安っぽいなーなんて思ってしまった。こういうイマドキ感溢れる作品はよっぽど魅力的な登場人物でもないと、ずれたタイミングで読むと厳しいと思う。主人公の二人は書き分けられてるけど、それ以外の人達はあんまり区別つかないんだよな。仲間たちも強盗もヤクザも。おまけに渋谷の街自体も魅力なくなってるし。10代後半の二人の少年(外見やなんかは少年なんてもんじゃないんだけど)は頭と力を使って渋谷のチームを纏め上げ、それなりに順調に、それなりに充実して過ごしていた。ある日、仲間が一般人と揉め事を起こし、勢いで相手の持っていたバックを持ち逃げしてしまったという。中身は何千万かの札束。どうやらカジノ強盗の一味らしい。プロの強盗、カジノを取り仕切っていたヤクザ、そして渋谷を縄張りにするヤクザも加わり現ナマと利権をめぐっての戦争が始まった。二人と仲間はこの危機を乗り越えられるか?みたいな話です。3年前は、こういうストリートっぽい話ってあんまりなかったように思うのですが、今はむしろ飽き気味。ストリートが舞台であるだけに登場人物も若くて無茶なタイプが多いしな。そんな甘くねーだろとか思っちゃったりして、やだなぁ私が歳とったってことなんだろうな。とまぁネガティブになりつつありますが、続編が出たのですよ。今度は渋谷から離れるのだろうし、全く違うステージの話になってると思うので、初読の時の感じを思い出して読もうと思います。主な登場人物であろう3人組が似通ってる気がすることが心配ではありますが・・・。なんだかんだ言って、結構すきなのです。この人。