グレッグ・アイルズ『戦慄の眠り』

戦慄の眠り〈上〉 (講談社文庫)

戦慄の眠り〈上〉 (講談社文庫)

戦慄の眠り〈下〉 (講談社文庫)

戦慄の眠り〈下〉 (講談社文庫)

戦場で死の記録を撮り続けるピューリッツァー賞カメラマン、40歳独身、めちゃ美人、頭も切れて行動力も抜群。そんな(現実味のない)女が主人公。双子の妹が約一年前、連続女性拉致事件とみなされる事件として誘拐され行方不明になった。以来焦燥の日々を送る主人公は、たまたま訪れた香港の美術館で自分=妹そっくりのヌード画を発見する。そのヌード画「眠れる女シリーズ」は作者不詳で19枚描かれていて、関係者の間では“死体を描いたものではないか”という噂が広まっていた。作者は拉致犯なのか?妹は生きているのか?FBIと協力しあい連続殺人鬼を突き止めることはできるのか? シリアルキラーでサイコものです。直接死体が発見されるわけではなく、あくまでも「画」としての表現だし、現在進行形での犯行なんだけど、1年以上捜査は煮詰まってたところに新たな手掛かりとして「画」が発見されたという書き出しなので、スピード感はあまりない。容疑者として挙がる何人かのうち、犯人は誰なのか?という流れではあるけれど、伏線があるわけではないので犯人あてミステリとして読んではいけない。民間人である主人公(作者が男なので、男から見れば魅力的なのであろう気の強いわがまま女)が活躍する愛とスリルとサスペンス!とかそんな感じで読めばいいのではないでしょうか。セックスシーンもあるしな。最初の2冊は面白かったんだけど、ここ何作かはどーも安っぽいな。こういう方が売れるんだろうけど。