東山 彰良『ワイルドサイドを歩け』

ワイルド・サイドを歩け ~『このミス』大賞・シリーズ

ワイルド・サイドを歩け ~『このミス』大賞・シリーズ

「第1回 このミス大賞 銀賞」受賞後初作品。大森望絶賛!台湾製のドラッグ「百歩蛇」を巡って博多の街で繰り広げられる市街戦。高校生男娼とその悪友仲間×ストリートギャング団「ラプターズ」×構成員二人の零細暴力団「伊島組」、三つ巴の抗争はヒートアップ!生き残るのは誰だ!? とそんなお話。ライトな犯罪小説+青春小説ですね。人とかバンバン殺されるんだけどすごくアッサリ。暴力シーンもサラッとしてる。その手のものが苦手な人でも全く問題ない。前作に大森氏が寄せたコメントが タランティーノのスタイル+ガイ・リッチーの下世話さ+コーエン兄弟諧謔+三池崇史のパワー」 だったんだけど、それは言いすぎだとしても映画的でクールでスタイリッシュな犯罪小説になりかけてる・・・って感じ。前作でも思ったけど、この人キャラクター造形が上手いですね。結構魅力的だと思う。特に脇役。音楽好きらしく、ポイントポイントでアーティストや曲名が織り込まれるんだけど、分かる範囲で言えば、映像化した時にその曲が流れればぴったりかな(あざといけど)。ただ、この作品は10代後半(高校生)から20代中盤の男ばっかり出てくるんだけど、その会話がなーイマイチ。頑張っちゃってる感がしすぎる。30男に10代の会話を上手く書けってのは無理な話なんだけど。確実に前作よりもレベルが高くなってるんで、次回作も期待します。