野沢 尚『烈火の月』

烈火の月―THE MOON IN A FURY

烈火の月―THE MOON IN A FURY

刑事小説に“最凶”のヒーローが誕生! 特技は「笑いながら人を殴る」 だそうで。好みな匂いが漂ってました。あれーこれなんかっぽいなぁと思いながら読んでいたのですが、あとがきを読んでやっと気が付いた。これって北野武監督・主演「その男、凶暴につき」の原型作品を小説化したものでした。気付くの遅すぎ。映画と違って麻薬取締官の女が登場するのですが、この女も問題アリだったりするので、そのせいか映画ほど我妻は毒っぽくないと思った。警察組織の中で「必要悪」として黙認されている問題だらけの暴力デカが、すべてを敵に回しながらも悪に立ち向かう、ってこれだけだと安っぽい感じがしてますけど、でもそういうお話です。極悪小説を好んで読む私としては暴力描写が甘い、殺し屋(用心棒)がいざとなったら弱すぎる、脇キャラに余計な装飾つけすぎ、などなど不満あり。やっぱり野沢尚は小説を書くのが上手くないと思ってしまいました。ストーリーはいいのになぁ。