柳原 慧『パーフェクト・プラン』

パーフェクト・プラン

パーフェクト・プラン

第2回「このミステリーがすごい!大賞」大賞受賞作。合言葉は「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」。代理母を仕事とする元新宿3丁目の顔だった女、その女の昔の愛人でキャバクラ店の元店長、その兄貴分でアングラ・カジノ店店長、その店で用心棒をしていた元株屋。そしてその株屋のボケ老人に近い親父。そんなメンバーが前代未聞の誘拐事件を起こす。ネットトレーディングにES細胞を使った美容整形、瞬間像記憶それから2ちゃんねるとイマドキアイテムこれでもか!ってな感じです。コメディタッチな犯罪モノでしかもストーリーはかなりおもしろいのでガシガシ読めるけど、なーんとなく浅い感じ。自称凄腕ハッカーが絡むのですが、どこがどうとか具体的にはもちろん指摘できないのだけど、そこに書かれていることがなんとなく一夜漬けの知識っぽい。それは全体を通して感じることで、巻末の選評でも書かれてますが、プロットは素晴らしいのにもったいない。これでも手直ししまくったらしいけど、まだダメでしょう。もっと枚数増やして各登場人物、女刑事とその先輩の関係なんかを深く描写したら傑作になったかもしれないなぁと思うとほんともったいない。この賞、微妙ですね。大賞賞金1200万ですよ。第1回受賞作の「逃亡作法」とこれの2作しか読んでないので、一概には言えませんけど、アイデア重視でとにかく面白い発想の持ち主を探そう、技術は二の次って感じっぽい。即戦力って感じではないよな。それに1200万かー。太っ腹だ。