G.M フォード『憤怒』

憤怒 (新潮文庫)

憤怒 (新潮文庫)

初めて読む作者で、なんとなくジャケ買いしてしまった作品。タイトルもかっこいいかなぁと。
シアトルの話で、連続レイプ魔として逮捕された人間のクズとも言うべき男の冤罪を晴らすべく新聞記者が真犯人探しに乗り出す。但し、期日は死刑執行までの6日間。ということですが、かなり読みやすかったです。と思って訳者を確認したらジム・トンプスンの訳をしている人でした。どうやらこの人の文章はあたしに合っているらしい。途中でラストの展開が読めてしまいましたが、登場人物が結構いいので楽しく読めました。洋物嫌いな人ってカタカナの名前が覚えられないからって理由が多いと思うんだけど、これは分りやすいキャラ設定で、なかなかのものだと。主人公はスティーブン・セガール似でポニーテールで長身、格闘技にすぐれていて、武器の扱いもお手の物。主人公の助手として動くカメラマンの女性は昔つきあっていたタトゥアーティストに別れ話を持ち出したら、睡眠薬を飲まされて寝ている間に全身(顔まで)いやらしい言葉や模様を彫られてしまったって設定ですよ。いいよなぁ。想像しちゃうし。
どうやら、シリーズ化されているらしく、主人公の新聞記者には過去があるんですよね、ニューヨークタイムズで花形記者だったのに、記事を捏造したと訴訟を起こされ解雇されているんですよ。助手の元カレも外国に逃げたらしく、まだ捕まってないし。そこら辺は今作では過去の話としてしか触れられていないので、きっとこの先重要な話になっていくんだろうと。近いうちに新潮社から続編が出るらしいので、とりあえず読んでみようかと思います。