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月村 了衛『ビタートラップ』

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ビタートラップ作者:月村 了衛実業之日本社Amazon帯に「わたしは、中国のハニートラップなんです」と大きく書かれているので、農水省の係長補佐(ノンキャリ)である主人公がハニトラに絡めとられる様を描くのではなくハニトラに引っかかったところから物語…

白井 智之『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』

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名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件作者:白井 智之新潮社Amazonなにかの時のためにと温存してたんですが(私は白井作品でメンタルの回復を図ることができます!)、我慢できずについに表紙をめくってしまいました。評判に違わぬ「真っ当な謎解きミステリ」…

一木 けい『悪と無垢』

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悪と無垢作者:一木 けいKADOKAWAAmazonたぶん初めましての作家さんだと思うのですが、ジャケ買いです。 帯に“新人作家が目にした不倫ブログに登場する「不倫相手の母親」は、自分が長年苦しめられ続けてきた母親だった”的な説明文があるもんで、所謂イヤミス…

中山 七里『特殊清掃人』

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特殊清掃人作者:中山 七里朝日新聞出版Amazon誰かに看取って欲しいなどとは思ってないけど、家で孤独死は避けたいよな・・・。 屋内で孤独死するなら道端で野垂れ死にするほうがナンボかマシだろ・・・・・・。 鑑定人の氏家さんが登場します。一連の世界に…

冲方 丁『骨灰』

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骨灰作者:冲方 丁KADOKAWAAmazon渋谷の再開発を巡って利権や陰謀が渦を巻く企業小説かと思って読んだらホラーでした。 ゴリゴリのホラーはそれはそれで、なんだけど、「使途不明の経費」だの「人柱」だの「オリンピック施設の建設」だの、そこになんとなく“…

荒木 あかね『此の世の果ての殺人』

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此の世の果ての殺人作者:荒木 あかね講談社Amazon第68回江戸川乱歩賞を「史上最年少、満場一致」で受賞した作品です。約2か月後に小惑星が衝突することにより人類が滅亡することが決まっている世界が舞台で、もうすぐ死ぬと知らされた翌朝母は家族を置いて逃…

直島 翔『警察医の戒律』

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警察医のコード作者:直島 翔角川春樹事務所Amazon NYの検視局で法医学者としてのキャリアを積み、生まれ育った横浜に戻り警察医になった男が主人公で、多様化する性を取り巻く問題に対応すべく神奈川県警に新設された女性警部率いる「ジェンダー班」とともに…

中山 七里『越境刑事』

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越境刑事作者:中山 七里PHP研究所Amazon新疆ウイグル自治区出身の留学生が凄惨なリンチの痕を身体に残し死体で発見され、留学生のバイト先のオーナーも殺され、留学生の同僚女性が県警に保護と求めてくるが、女性は中国公安部の人間たちに拉致されウイグル自…

黒川 博行『連鎖』

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連鎖 (単行本)作者:黒川 博行中央公論新社Amazon京橋署暴犯係の勤ちゃんとジロさんコンビが食品卸会社を営む夫が行方不明になったという相談を妻から受けるところから物語が始まり、捜査線上に次々浮かぶ関係者たちと丁々発止のやりとりを繰り返しながらじわ…

奥田 英朗『リバー』

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リバー作者:奥田 英朗集英社Amazon10年前、群馬県と栃木県それぞれの渡良瀬川河川敷で相次いで若い女性の死体が発見されたが、未解決のまま10年が経ち、再びそれと酷似する状況で事件が発生する。 という物語の始まりで、今度こそ事件を解決しなければならな…

歌野 晶午『首切り島の一夜』

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首切り島の一夜作者:歌野 晶午講談社Amazon帯に「新本格が存在しなかった世界線の、21世紀本格」という法月綸太郎さんのコメントがあるんですが、目に入った瞬間「どういうこと?」と思い、読み終わっても「言ってる意味がわからない」んですが。高校時代の…

荻堂 顕『ループ・オブ・ザ・コード』

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ループ・オブ・ザ・コード作者:荻堂 顕新潮社Amazon 世界が「疫病禍」を経験した後、20年前に国としての一切が<抹消>され新たに造り直されたかつての独裁国家<イグノラビムス>へと派遣されることとなった『世界生存機関(WEO)』の現地調査要員であるア…

青柳 碧人『赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。』

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赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。作者:青柳 碧人双葉社Amazonおじさんちにクッキーを届けに行く途中の赤ずきんが、ピノキオの右手を拾い、筆談で「たすけてくれ」と言われ母親にも助けてやれと言われたので頭と身体があるサーカス団を訪ねたら殺人犯…

矢樹 純『残星を抱く』

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残星を抱く作者:矢樹純祥伝社Amazon娘と自宅から少し離れた牧場に遊びに出かけた帰りに立ち寄った展望台で男性が暴行されているのを目撃し、慌てて逃げるも山道を追いかけられ間一髪逃げ延びることができたと思ったら、自宅周辺を不審人物がうろつきポスト怪…

佐藤 青南『犬を盗む』

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犬を盗む作者:佐藤 青南実業之日本社Amazon内容を一言でいうとタイトルずばり。 犬を盗んで、犬を盗んで、犬を盗もうとした話でした。過去に罪を犯した人物の物語としては、現在進行形でやっていること、その動機、そして犯した罪の「真の動機」も理解できる…

芦沢 央『夜の道標』

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夜の道標 (単行本)作者:芦沢 央中央公論新社Amazon学習支援塾の経営者が殺害され、それから2年後が物語の舞台です。 容疑者は判明しているものの、犯行後の足どりがぷっつり途絶え行方が分からないまま捜査本部は縮小され、今では2人の刑事が継続して捜査を…

櫛木 理宇『残酷依存症』

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残酷依存症 (幻冬舎文庫)作者:櫛木 理宇幻冬舎Amazon女の犯罪者がこの表現はどうかとは思いますが活躍する作品としていまだ記憶に残っているほど「殺人依存症」のインパクトは強烈で、まんまと逃げおおせたその女・浜真千代が犯罪嗜好を“変える”と決めたとこ…

堂場 瞬一『オリンピックを殺す日』

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オリンピックを殺す日作者:堂場 瞬一文藝春秋Amazon世界がコロナ禍にあるなかで強引に開催された東京オリンピックの最中に、元オリンピアンの大学教授が「オリンピックはもはや集金システムと化し、スポーツの祭典としての意義を失った」と発言しその後姿を…

相沢 沙呼『invertⅡ 覗き窓の死角 』

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invert II 覗き窓の死角作者:相沢 沙呼講談社Amazonドラマ化されるとなって、どんな構成になるのか、原作をどの程度踏まえた作品になるのかを確認してから今作を読もうと思っていたわけですが(ドラマがダメだったときはお口直しが必要だし)、ドラマはあと1…

西尾 維新『怪盗フラヌールの巡回』

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怪盗フラヌールの巡回作者:西尾 維新講談社Amazonやはり「特殊設定」と「突飛なキャラクター」を書かせたら西尾維新は良くも悪くも特異で得意だなと思わされるシリーズ1作目であった。 初代・怪盗フラヌールである父親が盗んだものを「返却」するために二代…

石田 衣良『ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークXVII』

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ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパークXVIII作者:石田 衣良文藝春秋Amazon 今回はヤングケアラー、賽銭泥棒と不法滞在、未成年や知的弱者を使った美人局、そしてペットショップ業界というネタですが、犬至上主義の私なのでタイトル作がまず無理だしマ…

宮部 みゆき『子宝船 きたきた捕物帖(二)』

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子宝船 きたきた捕物帖(二)作者:宮部 みゆきPHP研究所Amazon江戸深川を舞台に、北一と喜多次という二人の「きたさん」が事件を解決すべく表と裏で走り回るシリーズ第2弾です。おもしろかったー!。 構成としては「子宝船」「おでこの中身」「人魚の毒」と題…

夕木 春央『方舟』

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方舟作者:夕木 春央講談社Amazonメフィスト賞を受賞された作家さんですが、今作がはじめましてになります。 まさに錚々たるという表現が相応しいであろう帯に並んだ人気作家さんのお名前と絶賛コメント(一言コメントにも癖というか特徴というか、そういうも…

降田 天『さんず』

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さんず作者:降田天小学館Amazonタイトルの「さんず」とは“死にたいと願っている者の元へ届くカード”によってのみコンタクトが取れる自殺幇助会社の名称で、カードのQRコードを読み込みアクセスするとやってくる“担当者”コンビが“客”の要望に応える連作短編集…

長浦 京『プリンシパル』

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プリンシパル作者:長浦 京新潮社Amazon昭和二十年。玉音放送が流れた戦後の混乱期に渋谷に拠点を構えるヤクザ組織の「代表代行」にならざるを得なかった水嶽綾女という女がGHQや政界を相手に身を削りながら組織を大きくしていく物語です。 めっっっっっっっ…

葉真中 顕『ロング・アフタヌーン』

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ロング・アフタヌーン (単行本)作者:葉真中 顕中央公論新社Amazon初めましての作家さんです。女性編集者の元に、以前新人賞に応募してきた中年の女性から再び作品が送られてくるところから物語は始まり、作中作としてその送られてきた小説と編集者目線の物語…

北山 猛邦『月灯館殺人事件』

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月灯館殺人事件 (星海社FICTIONS)作者:北山 猛邦星海社Amazonトリックに対して「絢爛たる」という修飾語が相応しいかはひとまず置いておくとして、確かに「物理トリックの乱舞」であった。久々にこれほど面倒臭いトリックを読んだわw。この場合この「面倒臭…

貫井 徳郎『紙の梟 ハーシュソサエティ』

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紙の梟 ハーシュソサエティ (文春e-book)作者:貫井 徳郎文藝春秋Amazon 「人ひとり殺したら死刑」になるという、これもまた『特殊設定ミステリ』と言っていいのかな?と、そういう世界であるという設定下の作品集のつもりで読み進めたら、前半の4篇はすべて…

佐藤 究『爆発物処理班の遭遇したスピン』

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爆発物処理班の遭遇したスピン作者:佐藤 究講談社Amazon日本推理作家協会賞短編部門の候補作になった「くぎ」を含む7篇からなる短編集です。キャラクターがカッコイイとか、この台詞はカッコイイなどと思うことはあれど「この小説カッコいいなー!」と思った…

有栖川 有栖『捜査線上の夕映え』

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捜査線上の夕映え作者:有栖川 有栖文藝春秋Amazon帯に「圧倒的にエモーショナルな本格ミステリ」とありますが、確かに「感情的」であり「情緒的」だとは思うので「エモーショナルな本格ミステリ」で間違ってないけど、でもそれは“男性からみれば”かなーと。…