『グランメゾン東京』第3話

手堅い作劇だなあ。まだオープン前だというのにレストラン雑誌(でしたっけ?)主催の「コンテスト」なるものに参加要請を受けて、そこで菊之助さん丹後のgakuと「勝負」するって“だけ”の話かと思いきや、石丸さん演じる猟師を攻略する話をまさに「並行して描く」とかほんと手堅い。
ちょっと考えればドラマ全体を通しての構成からしてここで尾花VS丹後をやるわけにはいかないことぐらいわかるんだけど、それをこの瞬間まで悟らせないってところが巧いよなー。
石丸さんの存在のことはもちろん頭にあったけど、それとコンテストに出す料理がわたしのなかではまったく結びついてなくって、これまでの尾花のアレコレを見てたらコンテスト当日に姿が見えず連絡がつかなくても「当たり前」というか、ここぞのタイミングで現れてカッコいいとこみせんだろどうせ?という「キムタクドラマ」への先入観があるもんだから、石丸さんのところに出向いてました!尾花にとってはこっちが『本命』でした!にはびっくりしたもん。わたしどんだけ素直なのw。

そしてなにが巧いって、メニュー開発する過程で尾花が倫子に火入れの仕方を教えてるところ。芹田に対する鬼のしごきや大声で怒鳴ったりすることに気を取られるけれど、そういう時間のなかで倫子さんに手ほどきしていて「作れる」と確信が持てたからこそ自分は石丸さんのところへ行くことができたのだろうし、倫子さんもまたそういう時間があったからこそ「私が作る」と言えたのだろうし(それに加えてミッチー相沢の「合わせるよ!」の頼もしさよ!。相沢はメニュー開発要員だとばかり思ってたけど、厨房で尾花とスタッフを繋ぐ役割も担ってるんだろうな)、それを台詞で説明することなく「見てれば解る」という作劇であるところがとても好ましい。

好ましいと言えば相沢の本格加入の理由もそう。キャラ弁ってお弁当箱のなかに「何を描くか」というセンスが重要であるわけで、言ってしまえば味よりも蓋を開けた瞬間のインパクトが大事なわけで、いくら天才シェフとはいえどもそう簡単に作れるものではないだろう。だから尾花もそれなりにキャラ弁について研究したんだと思うの。それは期間限定とはいえ引き込んだ相沢のフォローのつもりもちょっとはあったのかもしれないけど、純粋に「アメリのため」になにかしてやれることはないのかと考えたのだろうし、尾花がそれをしようと思ったのは「自分の作った料理で誰かを喜ばせたい」からで、ただそれだけで、だけどそれによりアメリが明るくなってキャラ弁をキッカケに人気者になって、それは「娘のため」を理由にしていた相沢にとってなによりの釣り餌だよなと。
なんだかんだで持てる時間全てをメニュー開発に費やす相沢と尾花を見て倫子さんが「自分に足りなかったのは努力だ」と自嘲するのも効いてた。相沢も結局「そういう人間」なんだよね。だからこそ尾花も相沢を必要とするんだろうし、ピースがひとつひとつ嵌っていく感じが見ていて気持ちいいです。

ところで京野に対して相沢が「倫子さんのこと気にしてる?」的なことを言ったやつ、そのあとソファで寝てる倫子さんに優しく毛布を掛けてあげたカットで京野→倫子と思わせておきながら、実は京野がずーーーーっと想いを寄せているのは尾花に対してで、それを相沢だけが知ってるってセンはないですかね?。つまり「倫子さんのことを気にしてる?」ってのは尾花と倫子さんの仲を気にしてる?ってことだったりしませんかね?。
尾花→倫子←京野は不要だと思うのに京野→尾花ならイリマス!!!!とか申し訳ない。


それはさておき令和の時代にロッカーの取っ手に画びょうって(笑)嫌いじゃないけど(笑)。


ていうか、え?大貫くんいたってほんと?ぜんぜん気づかなかった・・・・・・。