鳥飼 否宇『天災は忘れる前にやってくる』

天災は忘れる前にやってくる

天災は忘れる前にやってくる

「天網恢々疎にして漏らさず」「大山鳴動して鼠一匹」といったことわざがタイトルで、それが各話の「オチ」になるという趣向の連作集で、その閃きでありキレであり“こじつけ”っぷりにはよくもまあこんな話を考えられるな!という意味での感嘆8割呆れ2割といったところですが、この作品の主人公コンビは怪しげな記事をネット配信して生計を立てている似非ジャーナリストでして、スクープを取るために災害現場に駆け付けるところから物語が始まるのです。
で、事件に巻き込まれるというより行く先々で事件に遭遇してしまい、スクープ欲しさに自ら首を突っ込むことになるわけですが、なんやかんやで事件を解決してしまうだけでは終わらず、主人公コンビもまた「ワル」であるという話を積み重ねて最後の最後に「うわあ・・・」というブラックなドン引き笑いで終わる鳥飼さんらしい作品で楽しめたことは間違いないんだけど、主人公コンビが出向く災害(現場)が『大地震』『火山が噴火』『豪雪』『豪雨で堤防決』『竜巻』『台風で土砂崩れ』といったものでして、どれもこれもぜんぶ記憶に新しいというか、どんな状況・惨状であるのか想像できてしまうんですよね。災害現場を舞台にした作品集があたりまえに成立してしまう。それはつまりそれだけ災害が続きまくっているということなわけで、日本ハードモードすぎるよね・・・・・・とどんより気分にもなったよね・・・。