青柳 碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました』

むかしむかしあるところに、死体がありました。

むかしむかしあるところに、死体がありました。

初めての作家さんになります。完全なるジャケ(表紙)買い。
「昔ばなし×ミステリ」とのことで、ほんとうは怖いグリム童話的なやつを想像していたら結構ガチな謎解き揃いだもんで嬉しい驚きでした。

各話のタイトルは「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙かえし」「密室竜宮城」「絶海の鬼ヶ島」ざっとこんな感じで、ミステリを読む人間ならどんな話(どのジャンルの謎解きなのか)は一目瞭然ですが、昔ばなしならではのファンタジー要素というか仕掛けアイテムというか、それをトリックに用いることによって昔ばなしの世界、世界観ならではのトリックに仕立てているのでなかなかに楽しめました。
「密室竜宮城」のトリックなんて昔ばなしでなければ許されませんからね(笑)。「つるの倒叙かえし」もタイトルで思いっきり「倒叙」と謳っているかつ作中で明らかに「あれ?」と思った箇所があった(そこがズバリ肝だった)というのに読み終わるまで(最後に構成の説明されるまで)はっきりとはわからなかったのは「つるの恩返し」という昔ばなしが目くらましになってたからだと思うし。
ラストの「絶海の鬼ヶ島」でそれまでに出たアイテムを再利用しつつ絶妙な後味で〆るところも好みだし、満足の1冊!。