月村 了衛『東京輪舞』

東京輪舞

東京輪舞

いやあ・・・すごかった。一気読みしてドッと疲れた。
「圧倒的スケールで激動の時代の暗闇を炙り出す前人未到の警察大河小説!!」と帯に書かれている通り、まさに圧倒されました。読みながら息苦しくなったほど。
現実に起きた事件を下敷きにした小説は数多あれど、複数の事件をいっぺんに扱うものはそうはないと思うのですが、この作品は昭和・平成に起きた大事件を帯文にある言葉を借りると『貫通』していて、それを公安に属する一人の警察官の視点で描き切るその構成力が見事だし、そこにロシアの女スパイと元部下であり元妻である警察官との“三角関係”要素を加えることでエンターテイメント性もしっかりあって、圧倒的スケールでありながらもでも警察官として国を護ることに人生をかけた男の物語であるという、月村さんの筆力の凄まじさに感嘆するしかないですわ。
昭和・平成の事件史としても、公安小説としても、文句なしの一冊です。これは絶対に読むべき!!。