シアターコクーン・オンレパートリー2010『血は立ったまま眠っている』@シアターコクーン

2公演取れたものの2日続けてだったので、1回目と2回目の間で考えたりということが出来なかろうと思い予め戯曲を自分なりに読みこんでから臨んだつもりだったのですが、やっぱわかんねえ。物語の筋そのものは分かるけど、寺山修司という人がこの作品に込めた思いというか、この物語の中で生きてる人達のパッションはやっぱりどうしたって分かりっこないんだと思った。何かを感じることは出来てもそれを言葉で表現することは出来ないと思った。だからこの作品の感想としては書けません。なので以下はイケメンオタク目線の感想です。


若干内容に触れているので隠します↓↓↓



蜷川さんに演出される森田剛を見てみたいと思い続け、ようやく念願が叶ったこの舞台を見終えてまず最初に思ったことは、わたしはとにかく舞台の森田剛が好きだ、ということでした。この圧倒的な透明感はなんなんだろう。どんな題材であろうと演出するのがだれであろうと、その驚異的な天性のカンで全てを吸収し、素直に出せる人なんだと確信しました。いい意味でエゴがないんだよね、演技に関して。今回で言えば演じてる役がそうではあるんだけど、舞台上の誰よりも存在が透明なの。純粋と言い換えてもいい。痛々しいまでに純粋な良がそこにいた。その事実に打ち震えました。わたしが見たのは前楽と千秋楽だったので、結構もってるとは聞いてはいたものの喉の調子がどんなもんだろうかと心配していたのですが、舞台に登場した剛くんが「僕」って言った瞬間、(あ、良だ)って思ったもん。「僕」がほんと透明でね、ぴんと張り詰めた冷たい空気の中にあるちっちゃな泉みたいな声なの。その中に17歳という少年が持っているであろう夢や希望と、そして少年と青年の間のほんの一瞬のエロスが詰まっているのです。実際は30のちっちゃいおっさんなのに!!。記者に囲まれ頭抱えるのとか、姉さんを殺しちゃって灰男さんに自分を殺してくれと土下座するのとか、へんな言い方だけど似合いすぎる。剛くんってほんっとにみっともなく縋る土下座が似合うよなぁ。純粋なバカが似合う。そして圧巻だったのがトイレの上で首吊り死体に対しようやく見つけた友達のように「君は海を見たことがある?」「自由はどっちだと思う?」と聞くシーン。首吊り死体の手を片方ずつ取ってギュって握るその手つきが頼りなげでもうなんとも言えない感じでね、剛くんのあの捨てられた感はすげーよほんと。それでいてパイプベッドで寝てる灰男さんに夏美姉さんの詩を見せるシーンでは灰男さんの背後からもう木に留まるカブトムシ状態でがっつりしがみついたりするのねw。で、窪塚が多分素で笑いながらwボカンって頭叩いて「わかったから向こう行って早く寝ろ」って言ったんだけど、そしたら剛くんってか良は「テヘヘっ><」ってもんのすごい嬉しそうってか幸せそうな顔で笑うのね。もうかーーーーーーーーーーーーーーわーーーーーーーーーーーーーーーいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー><と心の中でジタバタしまくりでした。
ていうか、窪塚と剛くんの並びが素晴らしいのなんのって!!。物語はテロリストチームと床屋チームという二つの話が同じ時間軸の中同時進行で描かれ、最後まで直接交わることはないのですが、簡単に言っちゃうとテロリストチームが「自由」という理想を追いかけ行動する一方で、床屋チームは享楽であり快楽だけを求めて生きてるという構図なのね。どっちも同じ時代に生きる若者(若者じゃない人も数人いますが)なんだけど、なんていうか・・・同じ人種だとは思えないわけですw。えーっと、テロリストチームが美しくて床屋チームが言い方悪いけど汚いのね。それがありがちな表現を許されるならば理想と現実というか、耳障りのいい言葉は美しいけれどその中に中身はなくて、快楽だけを求めて生きるのは醜い・・・ということを表現してるのかなーと思いました。どちらもそんな簡単なことではないのですが、分かりやすい対比だったなと。そういう意味ではOPとEDでステージ後方の搬入口の扉を開く演出もそうで(これ大阪は出来ないだろうからどう変えてくるのだろうか)、日常と非日常、正気と狂気の差ってこんなもんしかないんだ、とか、作中の時代・世界観と今この舞台を観てるわたしが生きてる時代は当然ながら地続きなんだな、とか思って、これまた分かりやすく対比させた演出だったと思う。特に楽はマチネだったんで外はもちろんまっ昼間の明るさなわけで、舞台の向こうに経済活動を行ってるであろう人たちが行き来してるのが見えるのね。だから思わず仕事を休んでまでこんなところにいていいのだろうか?とか思ったしねw。上演期間中、雨だけでなく雪が降ることもあったけど、マチソワの違いだけでなく外の天気によっても受ける印象が違っただろうから、できることならもっと観たかったな。
あれ?窪塚と剛くんの並びがイイという話からいつのまにか逸れてるぞw。
剛くんは前述のようにすこぶる可愛くて健気で脆くて馬鹿な少年なのですが、その少年が敬愛するテロリストの灰男さんが窪塚でして、これがもうねぇ・・・・・・・・・・・・・とにかく美しいの。あの麗しい存在をどう表現したらいいのだろうか・・・、これまでに拝んだ『美しい男』の枠には収まらない美しさで、独特の存在感なんですよね。舞台に立つには細すぎるんじゃないかとすら思うほど華奢なんだけど、スタイルがものすごくいいのね。腰の位置が高くて手足が長くて、さらに背筋が伸びてる。なんとなくだけど窪塚って猫背ってかだら〜っとした立ち姿のイメージだったんで、佇まいの美しさに衝撃を受けました。大石継太さん演じる新聞記者がアジトの倉庫に入ってくるときにピストルを構えるんだけど、そういうポーズがいちいちカッコいいの。様になってる。こういう舞台でそうと意図したわけではないであろうポーズ(静止画)がキマるってのがいいことなのかどうかは判断が分かれるところだとは思いますが、とにかくヘンなオーラってかカリスマ性があった。夏美が出てくるまでは良と同じ感覚で「灰男さんかっけえ!」と思ったもんなー。で、そんな灰男さんの後をくっついて歩いたりその周りを飛び跳ねたりする良がさらに可愛く見えるわけですよ。蜷川さんのことなので、これは作戦通り(ニヤリ)なんだと思う。二人以上の男を並べた姿を妄想させたら多分蜷川さんはジャニーさんと並んで日本最高峰だと思いますw。
そんな二人の間に割って入るのが良の姉であり灰男さんの女になるしのぶ姉さまの夏美でございます。ちなみに姉さま「18歳」の役でございますw。見た目が劇中の役(年齢)と結びつかない舞台はいくらでもあるのでそれをどうこう言うのは野暮ってなもんだとは思いますが、でもね、だってね、やっぱりね・・・男二人が細くて華奢だからしのぶ姉さまの姉さまっぷりが目立つのなんのってw。演技面でも二人を引っ張る姉さまなので、ぶっちゃけ母ちゃんに見えたわw。しかも姉さまの衣装は白ワンピなんだけど(よりによって膨張色)(おまけにノースリ)、窪塚の肌色の方が綺麗ってどういうことw。
とまぁ見た目は若干アレなわけですが、喋ると18歳の女の子なのよねぇ。声が可愛らしいの。この声で素敵な自作の詩を読まれたらそら弟は姉ちゃん大好き☆になるよなーって納得できる声なのです。剛くん(良)の声がちっちゃな泉のような声だと書きましたが、しのぶ姉さん(夏美)の声はその泉に吹くそよ風のようなのです。心地いいの。二人が声を揃えて楽しげに詩を朗読するシーンがあるのですが、二人の間には灰男さんの存在があるので決して「無垢」とは言えないと思うんだけど、でもやっぱり無垢で可愛い姉弟に見える(聞こえる)んだよね。姉弟にとって最期になる幸せな一時というシチュエーションだということも相まって、胸がキューーーーッと詰まるような感覚でした。
その一方で窪塚との絡みはさすが姉さま!!でして、夏美は登場後数秒で灰男にレイプされ、即灰男に運命を感じ恋をする・・・という壮絶なヤリ●ン(とお友達がこき下ろしてましたが、まぁそうだよなw)なのですが、その夏美の「女」の面の表現はさすがでございました。東京タワーの松本さん然りヴァイブレーターの南朋さん然り、姉さまって男の色気を引き出すのが上手い女優さんだと思うのですが、窪塚の色気もガッツリ引き出してくれたなーと。夏美が関わらない前半の灰男さんはイケイケのカリスマ兄ちゃんという感じなのですが、夏美が加わってから、つまり女を知ってからの灰男さんはだんだんと腑抜けになっていくわけです。良の目から見れば灰男さんは変わってしまった、弱くなったと見えるでしょうが、女の目線で見るならば灰男さんの倦怠感ってか退廃感ってか色気やべえ!!なわけですよ。姉弟が詩を朗読するシーンで夏美は青リンゴを齧っているのですが、その後その青リンゴは灰男さんの手に渡るのね。そして灰男さんは青リンゴを気だるげにムシャムシャするわけです。その手が!青リンゴを掴む指が!!青リンゴを小っちゃく齧るその一口が!!!ほんっとに綺麗!超キレイ!!ていうかエロイ!!!!!。これがその後のシーンの(心理的)伏線でして、良が出ていった後で灰男さんは俺は女を知って弱くなったと夏美に甘え愚痴り、そして夏美をグイっと抱き寄せキスをするんだけど、普通だったらグイっ→ぶっちゅ〜ってなると思うんだけど、窪塚の灰男さんはグイッ→ふわって感じなのね。乱暴に扱いたくても扱いきれない灰男さんの繊細さが見えるんだけど、その理由は灰男さんのこの美しい手先によるところが大なのです。青リンゴを齧るなんてことは戯曲の中にはなかったように思うので蜷川さんの演出でしょうが、青リンゴというアイテムそのものもテロリストを現しているのでしょうが、窪塚にそれを持たせ食べさせるってのは蜷川さんが見たかったに違いないw。その最たるものは良に殺された夏美と最後のキスをした灰男さんが赤い糸で繋がるという壮絶美なシーンですよねー^^。これは確実に口から血を流しながら女と繋がる窪塚洋介が見たかったからとしか考えられん^^。蜷川さんの妄想力は最高ですw。そして窪塚がその妄想力(イマジネーションと言うべきですよねw)を掻き立てる存在だということに異論の余地はありません。舞台に向いているか?と聞かれたら映像の方がいいかも・・・と答えますが、生で拝む価値はある。それは自信を持って言えます。


ミチロウさんは超絶豪華なBGMでした。戯曲にあるあの歌詞にどんな曲をつけるのかと期待半分不安半分でしたが、このいい意味でも悪い意味でもライトなアングラ感にばっちりあってたと思います。2幕はブルースじゃなくて完全にパンクだったけどw。全編緩やかな狂気に満ちた舞台の中で唯一ホッコリできたのが「カモン!床屋」と煽り六平さんとノリノリで歌い踊るシーンと、その息子である猫殺しの子供との去年の列車話のシーンでした。ミチロウさんはボソボソと喋ってるんだけど、さすがに声がいいってか発声がいいってか、ちゃんと言葉が届くのがすごいなーと思いました。
猫殺しの子供は・・・出来上がりすぎw。もっと「少年」ってか「子供」をイメージしてたから、なんつーかデカくてw、そんでもって特に太ももの筋肉とかは鍛えてるっぽい立派なものなので白ブリのもっこりした股間がその足と合わさるとリアルすぎたw。でも表情なんかはよかったと思うし、今後蜷川舞台では多用されるんだろうなー。
佑くんは父ちゃんに台詞回しと佇まいが似すぎてて、血って凄いな・・・と思いました。退屈シノギにデパートで強盗して牢屋に入ろうと考えるようなマヂキチ集団の中心人物なのですが、常にヘラヘラしててつかみどころがなくて、口調も戯曲読んでなかったらわかんなかったかも・・・ってぐらいボソボソで、でも「え?」って聞き返すのは怖いってか狂ってるという意味ではこのそばかすが一番ヤバイ感じがしました。
丸山くんはマヂキチ仲間の一員で、朝鮮人のドラマー役でしたが、佑くんとは真逆の感情をむき出しにする直情タイプの兄ちゃんで、ケツだしてモロセックスシーンを見せるわ、拷問の流れでチ●コ丸出しにするわ(もちろん作り物ですがw)大活躍でございました。そうそう、丸山くんはジーパンの上にアロハっぽいシャツを羽織ってるだけでして、ボタンは常に全開なのね。つまりその美しい腹筋が常に拝める状態でして、窪塚の妖艶な美しさの一方で丸山くんのザ・男の美しさを堪能できる素晴らしい舞台でございましたw。蜷川さんはほんと分かってらっしゃるわw。


千秋楽は特別な挨拶がなかったどころか主役の挨拶(言葉を発する)自体もなかったんだけど、蜷川さん以外のスタッフもステージに上がれる人は全部呼び込んで、キャストスタッフみんな充実感に溢れた幸せそうな笑顔で、なんだかすごく嬉しかった。剛くんいい舞台に出れたんだなーと思って。1幕ラストで良が「自由をこの手に!!」って感じでトラックの屋根に立ち右手をグッと伸ばす決めポーズがあるんだけど(これ、滝様か光一様かってぐらいのキマリっぷりでして、さすがジャニーズ!!って感じだったわw)、カテコで剛くんと窪塚としのぶ姉さまが三人揃ってそのポーズ見せたのがカッコよかったw。カテコ何回あったかなー?3.4回はあったと思うのですが、何も考えてなかったらしく蜷川さんとスタッフを呼んだ以外はグダグダでw、剛くんとしのぶ姉さまと記者役の人何人かだけステージに出てきてその後ってか肝心の窪塚が出てこなくて剛くんが「まーまー、ちょっと待って」って手振りで客の興奮を抑えたりw、他のキャストが出てくるまでの時間繋ぎ?で窪塚が多分ペスト菌のシーンを再現したんだとは思うんだけど、剛くんを背後から優しく(これポイント!ガシって感じじゃなくて、なんか震える仔猫に接するような感じだった!!)抱きしめてオタギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーとかね(笑)。その後ミチロウさんがちっちゃい人を抱きしめて、さらに窪塚がしゃがんで両手広げて「おいで」ってするともう一人のちっちゃい人が駆け寄って飛びついて、抱っこしながらグルグル〜って回ったのがパパっぽくて超ときめきました><。そうそう、ミチロウさんがギターを弾いて歌ってくれそうだったのに、BGMが流れてたせいで声が聞こえずすぐ止めちゃったのが激しく残念でした。これは段取りしといて欲しかったw。