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京極 夏彦『鵼の碑』

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鵼の碑 (講談社ノベルス)作者:京極 夏彦講談社Amazon読み終わってしまった・・・。 ついに鵼が刊行されると知り、姑獲鳥から邪魅、陰から陽、そして鬼・河童・天狗と百鬼夜行シリーズ(って呼ぶのが正式なんですね。長編を「京極堂シリーズ」それ以外のスピ…

染井 為人『滅茶苦茶』

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滅茶苦茶作者:染井 為人講談社Amazon仕事を持ちそこそこの収入がある30代後半の独身女性と進学校で落ちこぼれになってしまい通学途中で旧友と再会した男子高校生と親からラブホテルの経営を引き継いだものの経営状態が悪化している中年男の三つの視点がやが…

柚月 裕子『教誨』

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教誨作者:柚月 裕子小学館Amazon自分の子供を含む二人の幼女を殺害した犯人の死刑が執行され、身元引受人として名指しされていた縁戚の香純は「響ちゃん」の遺骨と遺品を引き取ることに。 自身の中にいる「響ちゃん」と死刑囚として語られる響子が重ならず、…

方丈 貴恵『名探偵に甘美なる死を』

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名探偵に甘美なる死を作者:方丈 貴恵東京創元社Amazon「時空旅行の砂時計」の主人公・加茂と「孤島の来訪者」の主人公・竜泉佑樹が「素人探偵」として世界有数のゲーム会社のイベントとして孤島に集められ、VR世界と現実の双方で起こる殺人事件を解明するこ…

米澤 穂信『栞と嘘の季節』

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栞と噓の季節作者:米澤 穂信集英社Amazon高校の図書委員という関係性の二人の男子高校生を中心とする学園ミステリではありますが、内容的にはすこぶるビターという前作の記憶が残っているのでそのつもりで読みました。 なので前作ほどの「思ってたのと違った…

櫛木 理宇『少年籠城』

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少年籠城作者:櫛木 理宇集英社Amazon温泉街の河原で子供の惨殺死体が発見される。捜査開始早々に容疑者として15歳の少年の名前があがるが、交番の警官が職務質問すると少年は所持していたナイフで警官を刺し拳銃を奪って食堂に立てこもる。その食堂は子供食…

麻耶 雄嵩『化石少女と七つの冒険』

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化石少女と七つの冒険作者:麻耶雄嵩徳間書店Amazon殺人事件が日常化する学校を舞台にトンデモ推理のオンパレードの末の「後味・・・・・・」という記憶が残る(でもそのトンデモ推理自体は覚えていない)前作(化石少女)の「続編」であることはわかるんだけ…

薬丸 岳『罪の境界』

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罪の境界作者:薬丸 岳幻冬舎Amazon渋谷のスクランブル交差点で発生した無差別死傷事件の被害者が、自分を庇って命を落とした人の「最期の言葉」を伝えるため、その人の人生を辿ろうとする。 一方加害者の生い立ちに自身のそれを重ねるライターが、事件のノン…

月村 了衛『香港警察東京分室』

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香港警察東京分室作者:月村 了衛小学館Amazon国際犯罪に対抗すべく日本と中国の警察が協力するという名目で警視庁内に日本と香港警察それぞれ同階級・同人数による「特殊共助係」が新設されるが、接待目的の「分室」と呼ばれ揶揄されている。 そんな「分室」…

風森 章羽『獏の掃除屋』

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獏の掃除屋作者:風森 章羽講談社Amazon2014年にメフィスト賞を受賞してデビューした作家さんとのことですが、この作品がはじめましてになります。悪夢を見ている人の夢に入りその原因となるものを喰らう「獏付き」と呼ばれる青年の物語です。夢の中で獏の姿…

小西 マサテル『名探偵のままでいて』

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【2023年・第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作】名探偵のままでいて (『このミス』大賞シリーズ)作者:小西 マサテル宝島社Amazon第21回「このミステリがすごい!」大賞受賞作です。いきなりですが、読んでる最中も読了後も「これがこのミス大賞・…

外山 薫『息が詰まるようなこの場所で』

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息が詰まるようなこの場所で作者:外山 薫KADOKAWAAmazon帯に「Twitterで話題沸騰!窓際三等兵(かもしれない人の)初の長編小説」とあるものの、わたしはその「話題沸騰」してるという「窓際三等兵」なる人のことを全く知りません。 じゃあなぜこの作品を手…

鵺野 莉紗『君の教室が永遠の眠りにつくまで』

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君の教室が永遠の眠りにつくまで作者:鵺野 莉紗KADOKAWAAmazon第42回横溝正史ミステリ&ホラー大賞「優秀賞」受賞作を加筆・修正して出版された作品です。物理的トリックではなく物語そのものに設置された「仕掛け」を使って「やりたいこと」ははっきりして…

長岡 弘樹『新・教場』

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新・教場作者:長岡 弘樹小学館Amazon時系列としては「“千枚通し”十崎に襲われたあと、その身の安全保持を目的として警察学校の教官となり、初めての生徒を受け持った」風間です。つまりシリーズ1作目となる「教場」の前に位置する作品で、風間が「刑事指導官…

青柳 碧人『名探偵の生まれる夜 大正謎百景』

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名探偵の生まれる夜 大正謎百景作者:青柳 碧人KADOKAWAAmazon「むかしむかしあるところに、死体がありました」を書かれた作家さんで、「むかしむかし~」や「赤ずきん~」が昔話や童話といった「ものがたり」を下敷きというか脚色しているのに対し、こちらは…

斜線堂 由紀『君の地球が平らになりますように』

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君の地球が平らになりますように作者:斜線堂 有紀集英社Amazon斜線堂さんのお名前は「楽園とは探偵の不在なり」で知り、続いて「廃遊園地の殺人」が既読作なので私の中ではミステリー作家さんとしての認識で、なので帯には「恋愛小説集」とあるもののミステ…

青本雪平『バールの正しい使い方』

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バールの正しい使い方作者:青本雪平徳間書店Amazonはじめましての作家さんで、タイトルに惹かれて手に取りましたが、タイトルと中身のギャップ(の度合いと方向性)としては「君の膵臓を食べたい」と同じ本棚にしまいたくなるヤツでした。父親の都合で転校を…

長沢 樹『クラックアウト』

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クラックアウト作者:長沢 樹角川春樹事務所Amazon池袋を舞台に、中国系マフィアとヤクザと警察の戦いを描く作品です。故あってマフィアの殺し屋「送死人」をやってる男と父の遺志を継ぎ「送死人」を追う暴れん坊女刑事と狂信的オタク復讐鬼を中心とするアク…

乾 ルカ『水底のスピカ』

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水底のスピカ (単行本)作者:乾 ルカ中央公論新社Amazon二年生の夏休みが明けた札幌の高校に東京から転校生がやってくる。容姿端麗で頭脳明晰なその女子はとある発言を発端として浮いた存在となってしまうものの、その存在感ゆえにクラス全員を敗北させる。 …

西澤 保彦『異分子の彼女 腕貫探偵オンライン』

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異分子の彼女 腕貫探偵オンライン作者:西澤 保彦実業之日本社Amazonもともと安楽椅子探偵ではあるんだけど、今作は「コロナ禍」なので「リモートで相談を受ける」というスタイルで、腕貫さんの周りでワイワイやってるレギュラーキャラは一切出てくることはな…

高野 和明『踏切の幽霊』

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踏切の幽霊作者:高野 和明文藝春秋Amazon妻を亡くし気力を失い新聞社をやめて女性誌で契約ライターとなった男が主人公で、読者からの投稿で幽霊が出るという踏切の取材を命じられるところから物語は始まります。素材となる写真と映像はプロのカメラマンでも…

大倉 崇裕『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』

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殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官作者:大倉 崇裕二見書房Amazon文才(物語を作る能力)のあるオタクってめちゃくちゃタチ悪いよなあ・・・ と、「好きなもの」と「ミステリ」を×で繋げる大倉さんの作品を読むたびに思います(超褒めてます)。

似鳥 鶏『名探偵外来 泌尿器科医の事件簿』

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名探偵外来 泌尿器科医の事件簿作者:似鳥 鶏光文社Amazonタイトル通り泌尿器科の外来診察に来た患者が訴える症状の背景に「何があるのか」を、泌尿器科医と個性豊かな病院スタッフたちと解明する連作短編集です。 いきなり「チンコ」が連発されるのでゴリゴ…

誉田 哲也『妖の絆』

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妖の絆作者:誉田 哲也文藝春秋Amazon「妖シリーズ エピソードゼロ」と帯にあるように、紅鈴と欣治が出会い「血分け」をする物語です。舞台となるのは江戸時代。紅鈴(と欣治)がどれほど長い年月を生きているのかということは“情報”として理解していたけど、…

織守 きょうや『悲鳴だけ聞こえない』

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悲鳴だけ聞こえない作者:織守きょうや双葉社Amazon新人弁護士の木村が主人公で、敏腕上司の高塚とともに謎を含んだ依頼を解決するリーガルミステリ短編集です。 って、これ前に2作刊行されてるシリーズ作品とのことなんですが、そうとは知らずにいきなりこの…

ジェフリー・ディーヴァー『真夜中の密室』

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真夜中の密室作者:ジェフリー・ディーヴァー文藝春秋Amazon高度なセキュリティに守られる鍵のかかった部屋に侵入し住人の女性に恐怖を与える<ロックスミス>が今回の「敵」なんですが、ウォッチメーカーと並べて語る(そう作中で語られている)のは納得いか…

方丈 貴恵『孤島の来訪者』

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孤島の来訪者作者:方丈 貴恵東京創元社Amazon 前作の「時空旅行者の砂時計」で『特殊設定』を担っていたマイスター・ホラは今回本編には登場せず、この作品で描かれる出来事・事件が過去に起きたことを知っている、という云わば神の視点的立ち位置で、「時空…

道尾 秀介『いけないⅡ』

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いけないII作者:道尾 秀介文藝春秋Amazon前作は確か「写真」が答えというか、本編を読み最後に挿入されている写真が意味するところを理解した瞬間にゾッとする、そんな作品だった記憶があるんですが、続編となる今作は作中で答えが描かれる(厳密に言うと他…

月村 了衛『ビタートラップ』

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ビタートラップ作者:月村 了衛実業之日本社Amazon帯に「わたしは、中国のハニートラップなんです」と大きく書かれているので、農水省の係長補佐(ノンキャリ)である主人公がハニトラに絡めとられる様を描くのではなくハニトラに引っかかったところから物語…

白井 智之『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』

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名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件作者:白井 智之新潮社Amazonなにかの時のためにと温存してたんですが(私は白井作品でメンタルの回復を図ることができます!)、我慢できずについに表紙をめくってしまいました。評判に違わぬ「真っ当な謎解きミステリ」…