伊岡 瞬『不審者』

不審者

不審者

主婦業をしながら自宅で校閲・校正の仕事をしている女性が主人公で、産まれて間もない乳児をSIDSで亡くす序章があって、本編に入ると5歳になる息子がいて夫の実家で義母と暮らしているところへ突然二十数年ぶりに離婚により疎遠になっていた“夫の兄”が現れる。という始まりで、主人公は兄の言動やその雰囲気に不信感を覚え、自宅の周辺で不気味な事件が続発していることもあり不安を募らせていく・・・という物語なのですが、兄=不審者として描かれているものの「それ」だけではない違和感というか気持ちの悪さのようなものがずっとあったので、『真相』が明らかになった瞬間に私が抱かされていた感情は「これ」だったのか!という謎のスッキリ感がありました。内容的にはスッキリどころかどんよりでしかないんだけど、私の気持ちは「だと思った!」というスッキリ感。

でも次の瞬間「息子の父親の正体」が明かされてスッキリ感吹き飛びましたけどね・・・。確かに布石はあったけど、「似てる」ってのがそのものズバリだったとか・・・。